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うるう秒って何? 次回の予定はいつ? 太陽時・原子時・協定時・わかりやすい時間の話

時計

「来月の1日は、うるう秒で8時59分60秒の1秒が追加されます 」

そんなニュースを聞いても、ピンとこない人も多いのではないでしょうか。

「うるう秒って一体なんのためにあるのか?」知ってるようで知らない、うるう秒の秘密をできるだけ簡単にわかりやすく説明してみます。

そして気になる次回のうるう秒はいつになるのでしょう?

その答えも、うるう秒とは何かという問いに隠されています。

目次

うるう秒は、うるう年とは関係ない

勘違いしている人もいるかも知れないので、最初に言っておきます。名前は似ていますが「うるう秒」と「うるう年」とは、全く関係ありません。

うるう年は、1年がぴったり365日ではなく、365日と6時間くらいなので、その調整の意味で設けられたものです。

地球が太陽の周りを一回公転する時間が365日と6時間くらいだということです。

このことは紀元前のはるか昔から知られていました。

うるう年の規則は色々変わりましたが、現在使われているグレゴリオ暦は1582年に制定されたものです。

古くから使われているうるう年に対して、うるう秒は近年になって初めて定められたものです。

うるう秒とは地球の自転速度によるもの

一日の始まり

うるう秒とは何かを理解するには、一日の長さについて考える必要があります。

少し遠回りかもしれませんが、簡単なので順を追って説明します。

1日の長さは太陽の動きから決められた

朝、太陽が昇って、昼間に一番高くなって、夜に沈む、このサイクルが1日です。

これは地球の自転によるものです。

地球が1回転するのにかかる時間が1日の長さで、1日は24時間、1時間は60分、60分は60秒、1日は86,400秒です。

※『地球の自転は24時間に一回転じゃないという話 それが12星座の起源?』という記事で書きましたが、地球が一回転するのが1日というのは正確には違います。

最初はこうやって時間を決めていました。

時計による1日の長さの測定

その後技術が進歩し時計の精度もどんどん上がっていきました。

そして、ついに地球の自転よりも時計の精度の方が上回りました。

その正確な時計で計ることで、1日の長さは一定ではなく変動していることがわかったのです。

とはいっても、1日で数ミリ秒(1秒の1,000分の1)程度のわずかな変動なので、「今日は、86400.002秒だった」くらいの違いしかありません。

現在では(50年以上前から)精度の高い時計を使って天体を観測することで、そのわずかな変動を常に測定するようになっています。

原子時計の登場

1900年代半ばに、精度の高い「原子時計」が実用化されました。これが地球の自転の変動を観測した時計です。

よく使われているセシウム原子時計は、1億年に1秒くらいの誤差だと言われています。

これにを使って1日の長さを、1ミリ秒(1秒の1,000分の1)くらいの誤差で測れるようになったのです。

そして、原子時計を使えば、時間を正確に表すことができるので、1967年には時間(秒の単位)は、セシウム原子を使って表すことに決まりました。

1日の長さの変動のずれを調整するのがうるう秒

1日の長さは、変動を続けています。1年とか数年の周期で、1ミリ秒とか2ミリ秒の違いがあるのです。

そのため、原子時計で測定した時間と天体観測で測定した時間には、どうしてもずれが発生します。

このずれは、大気や海水と地表の摩擦などが原因なので、気候などにも左右され、予測ができません。

でも時間は原子時計で測ることになっています。

これを放置しておくとズレが積み重なって、そのうち「12時なのにまだ日が昇ってこない」なんてことにもなりかねません。

そこで、地球の自転で決まる時刻と原子時計での時刻が0.9秒以上ずれそうなときに、修正をかけることになりました。

これが「うるう秒」です。

うるう秒は、地球の自転を表す「時刻」と、時計が測定する「時間間隔」とのずれをリセットする「時刻合わせ」と思えば、わかりやすいかもしれません。

このことは別記事「時間と時刻の違いとは?時計とともに進化した時刻の歴史」で説明していますので、参考にして下さい。

世界時・国際原子時・国際協定時、時間にも色々ある

うるう秒についてもう少し詳しく説明するためは、時間、時刻の表し方について説明しましょう。

時間といっても色々種類があるのです。

国際時(UT)

昔から世界共通で使われていた時間を、国際時(UT)と呼びます。

イギリスのグリニッジ天文台の子午線を太陽が通過する時間を正午として時間を決めています。

太陽の位置つまり地球の自転を基準にして決められた時間です。

国際原子時(TAI)

国際原子時(TAI)というのは、原子時計を使って測定した時間のことです。

セシウムを使った原子時計で1秒が定義されているので、それを使って86,400秒を1日とするものです。

原子時計にも誤差があるので、どうやって共通の時刻を決めているのか、など詳しいことは別の記事で紹介していますので、興味があればそちらも参考にして下さい。

国際原子時とは?時刻はどうやって決めているのか

1958年1月1日0時0分0秒の時点から、原子時計によって時を刻み始めてずっと積算し続けられています。

GPSでの位置特定には、この国際原子時が使われています。

協定世界時(UTC)

前で説明した世界時(UT)は、地球の自転を基準にしているので、地球の自転速度の変化によって1日の長さ、つまり時間間隔が一定ではありません。

国際原子時(TAI)は、時間間隔は(現在の技術水準では)一定ですが、 世界時(UT)とはずれがでてきます。

太陽が子午線を通過する時間と国際原子時の正午がすれるのです。

そこで、世界時(UT)と国際原子時(TAI)が、0.9秒ずれそうなときに、補正を入れてすれを小さくする協定世界時(UTC)という時間の表し方が決まりました。

そのときの補正が「うるう秒」です。

ちなみに、これまで37回のうるう秒の挿入があったので(2022年7月現在)、 協定世界時は国際原子時より37秒遅れています。

うるう秒は、太陽の位置を表す「時刻」と、時計で測定する「時間間隔」のずれをリセットする「時刻合わせ」のようなものです。

下の図は各時間のイメージ図です。

一番下の協定世界時の隙間が挿入されたうるう秒を表しています(実際よりめちゃくちゃ大きく書いてますが)。

世界時の比較

私たちが使っている時間はどれなのか

私たちが通常「時間」と呼んでいるのは、このうちのどれでしょうか?

協定世界時(UTC)です。

原子時計で計り、うるう秒で補正した時間を使っています。

で、次回のうるう秒の予定はいつ?

時間

という訳で、

次回のうるう秒は「協定世界時」と天文学的な時間が、0.9秒 以上ずれそうなときに発生します

それがいつになるのかは、地球の自転速度の変動次第です。

次回のうるう秒がいつになるかはわからない」のです。

全く予想がつきません。予定がたたないのです。

最近の傾向としては、数年に一度うるう秒が挿入されています。

うるう秒が挿入される日は、日本時間で 1月1日か7月1日(が第一候補)だと決まっています。

ですので、もう少し絞ることができます。

次回のうるう秒は、ここ数年内の1月1日か7月1日になります。

逆うるう秒が発生することはないのか?

地球の自転速度がばらつくのなら、自転が速くなることもあるはずです。

すると 1日が86,399.998秒というように、86,400秒より短くなります。

そうなったら、うるう秒として1秒挿入するのではなく、1秒引かなければならなくなるはずです。

その場合には、8時59分59秒がなくなるという「逆うるう秒」で対応すると、一応は決まっています。

しかし、現在まで逆うるう秒は一度も発生していません。

数か月単位では、1日が短いということもありますが、平均すると1日は86,400秒より長くなっているのです。

これは、最初に原子時計で1秒を決めたとき、今より1日が短かったことが主な原因です。その後、色々な論争があり、ある程度は調整されてきた歴史がありますが、当分は今のままで、逆うるう秒が発生する可能性は少ないでしょう。

2020年は1日の長さが86,400秒より短いことが多くなって、逆うるう秒の可能性も現実味を帯びてきたようです。

地球の自転はどんどん遅くなっている

今までの話に影響するほどではありませんが、長期的に見ると地球の自転はどんどん遅くなっています。

これは、主に潮の満ち引き(潮汐力)によるもので、20年で1万分の1秒くらいの割合で1日が長くなっているのです。

約46憶年前、地球が誕生した頃は、1日が5時間くらいだったと推定されています。

うるう秒によるトラブル

うるう秒は、いつ発生するのかわかりません。そのため、前もって対策を講じることが難しく、色々な問題を抱えています。そして実際にトラブルも起きています。

時計の時間のずれ

身の回りにある時計の精度もかなり向上しています。

精度の高いクォーツ時計なら、1か月で1秒以内の誤差に収まります。

≫≫クォーツ時計の原理と仕組み|世界を変えた日本の技術 

せっかく1か月に1秒も狂わない精度があるのに、うるう秒があると一気に1秒ずれてしまいます。

前もって次回のうるう秒がいつなのか決まっていれば、それを考慮した時計を作ることもできるのでしょうが、そういうわけにいきません。

日付まで表示する時計では、うるう年の2月29日もきちんと表示されますが、これは前もってわかっているからできることです。

ちなみに、電波時計では、電波によって自動的に時刻合わせしてくれるので、うるう秒発生時には1秒ずれますが、次の時刻合わせでうるう秒を入れた時刻に修正されます。

その前に、時計にはうるう秒の「8時59分60秒」を表示することすらできませんが。

ネットワークシステムの障害

時計のずれは大した問題ではありませんが、大きな影響が出るのがネットワークシステムです。

ネットワークでは、時間を協定世界時に同期させるために、NTP (Network Time Protocol)というシステムを使っています。

詳細は省きますが、ネットワークに接続されている機器の時間を全て合わせる仕組みで、今のIT社会では時間を正確に同期させないと色々と問題が発生します。

もちろん、うるう秒挿入の仕組みもあるのですが、その仕組みを利用していても障害が発生することがあります。

現在では、各社が独自にうるう秒挿入時の障害を避ける工夫を盛り込んだ機器を作っているようです。

障害の多くは、普段はあり得ない「60秒」という時刻が発生することが原因で引き起こされるので、60秒を使わず(20時間くらいに分散させて1秒を長めに設定するなど)に処理することが多いようです。

今後うるう秒はどうなっていくのか?うるう秒廃止論

うるう秒は、地球の自転速度よりも正確に時間を測ることができるようになったために発生した比較的あたらしい概念です。

実生活では時計がずれるくらいで大きな支障はありませんが、ネットワークシステムを始めとして様々なところで障害を引き起こす可能性があります。

そのため、うるう秒を廃止するという案も出ていて、実際に検討されています。

うるう秒を完全に廃止すると、「太陽が真南にあるときが正午」という従来からの時刻とは少しずつずれていきます。

私たちが生きている間は、せいぜい数十秒くらいのずれなので問題ありませんが、遠い未来には本当に「正午なのにまだ日が昇らない」ということも起こり得ます。

その結論は、2023年の世界無線通信会議(WRC)で出る予定ですが、一体どうなるのでしょう。

と、ここまでが2019年に書いた記事です。

その後の進展ですが、

2023年12月11日に国際電気通信連合(ITU)は原則2035年までにうるう秒を廃止するとした決議案を採択しました。

1日の長さに1秒加える「うるう秒」廃止へ…1972年導入、システム障害の懸念で国連機関が決議:読売新聞

*国際電気通信連合(ITU)は世界無線通信会議(WRC)を開催している団体です。

次回のうるう秒は2035年までになければ、その後はないということになりました!

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