絶対湿度って言葉を聞いたことがありますか?
わたしたちが普段「湿度40%」というときに使っているのは、相対湿度と言われるものです。
絶対湿度はこの相対湿度とは違うもので、あまり馴染みがないかもしれません。
でも水の蒸発などを少し深く考えるときには、絶対湿度という考え方が必要になってきます。
また、普段使っている相対湿度を理解するためにも絶対湿度は必要になってきます。
この絶対湿度と相対湿度の違いについて簡単に説明していきたいと思います。
絶対湿度とは?
私たちの周囲にある空気の中には、水が気体になった水蒸気が含まれています。
空気の中にどれだけ水蒸気が含まれているのかを表すのが絶対湿度です。
普通は、1立方メートルに水蒸気が何グラム含まれているのかという値で表します。
ときどき、湯気のことを水蒸気だと思っている人がいます。水蒸気は気体で目に見えません。白く見える湯気は小さな水の粒なので全く違うものです。
飽和水蒸気量
空気中に存在できる水蒸気の量には上限があります。
この上限を「飽和水蒸気量」と呼びます。
水蒸気が飽和水蒸気量より多くなると、その分の水蒸気は水になってしまいます。
飽和水蒸気量は温度で変化する
飽和水蒸気量は温度によって変化して、温度が高いほど多くの水蒸気が存在できるのです。
冬に窓などの冷たいところで結露するのは、その場所の温度では飽和水蒸気量を超えてしまうからです。
相対湿度とは
普段使っている「相対湿度」とはどんなものでしょう。
相対湿度は、空気中の水蒸気量がその温度での飽和蒸気量に対して何パーセントに当たるのか、という値を示すものです。
わかりにくいので、少し具体的に説明してみます。
温度30℃で湿度50%という場合を考えてみましょう。
上の表から30℃での飽和水蒸気量が約30グラムだということがわかります。
湿度50%ということは、空気中にその半分の15グラムの水蒸気が含まれているということです。
温度20℃で湿度50%だと、20℃での飽和水蒸気量17グラムの半分で、8.5グラムの水蒸気があるということです。
同じ湿度50%でも、20℃のときと30℃のときでは、水蒸気の量は違ってくるのです。
ですから同じ水蒸気量の空気を温めたり、冷やしたりすると、相対湿度は大きく変わります。
冬に気温が低くて水蒸気量が少ない空気を暖房で温めると、相対湿度が低くなって乾燥するのはこのせいです。
また、飽和水蒸気量は、その温度で存在できる水蒸気の上限なので、相対湿度が100%を超えることはありません。
相対湿度を表すとき、”30%RH”とRHをつけることがよくあります。これは”Relative Humidity(相対湿度)”の略で、相対湿度だということがはっきりわかるようにつけています。
蒸発と沸騰
コップに水を入れて長く置いておくと、水が蒸発して少なくなっていきます。
これは、空気内の水蒸気量が飽和水蒸気量に達していないから、水が自然に蒸発していくということです。
もし空気内の水蒸気量が飽和水蒸気量(湿度100%)なら、水が蒸発することはできなくなります。
また、水が蒸発する温度を沸点といいますが、沸点は飽和水蒸気量が空気が全部水蒸気になったときと同じになる温度です。
1気圧のときは100℃ですが、高い山の上など気圧が低い場合には沸点は低くなります。