電磁波(電波)は人体に有害なのか? 色んなところで議論されている問題です。
このブログでは、こういったセンシティブな内容は扱うつもりはありませんでした。
ただ、自分の記事が「Wi-Fiの電波が身体に悪い」という根拠に使われているのを見かけたので、そのことについては説明しておきたいと思います。
≫≫電子レンジの仕組みを簡単に説明! 電波を使って加熱する不思議
この記事の中で、電子レンジで使われている電磁波とWi-FiやBluetoothの電波の周波数が同じだと紹介したことが「Wi-Fiの電波が身体に悪い」理由として扱われていたのです。
電磁波は人体に有害なのか?
まず、電磁波は人体に有害なのでしょうか?
この質問に一言で答えることはできません。
YES、NOの二択では答えられるような問題ではないのです。
身体にいいものと悪いものの二種類があるという誤解
電磁波に限らず、化学物質なども、身体にいいものと悪いものの2種類があるという観点で説明しているものをよく見かけます。
電磁波は、波長が短い(エネルギーが高い)ものからざっくり分けると、ガンマ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線、電波となります。
その中で、ガンマ線、X線、紫外線、電波が身体に悪いもの、赤外線は身体によいものとされていることが多いようです。
可視光線は、身体によくも悪くもないという分類でしょう。
このような二元論がそもそもの間違いです。
身体に悪影響が出るかどうかは量で決まる
身体に悪影響が出るかどうかは量によって考えないといけません。
紫外線は、肌を劣化させたり、皮膚がんを誘発したりすることから、身体に悪いと思われています。
でも、体内でビタミンDを作るのには紫外線が必要です。
紫外線が足りないと身体に不調が出るのですから、身体にいいものだともいえます。
でも強烈な紫外線は明らかに身体のためによくありません。
可視光線も、光がほとんどないところで生活すると心身に悪影響が出ますし、強烈な光を浴び続けても身体によくないでしょう。
量が多くなり過ぎれば、何もかも健康に悪影響が出るのです。
すべての健康問題に共通する課題
電磁波だけの問題ではありません。
放射能汚染、汚染化学物質、食品添加物、農薬や除草剤……全てに共通することですが、どれくらいで体に悪影響が出てくるのかというレベルが問題になってくるのです。
浴びすぎたり、摂りすぎたりすると、身体に悪影響が出ますが、それは何でも同じこと。
身体に必要な成分でも、摂りすぎると身体に悪いことはみなさん知っている通りです。
塩の致死量は約200gですし、1日に数十グラム以上摂り続けると様々な悪影響がでます。
でも、身体にはなくてはならないものです。
糖分や脂肪も大事なエネルギー源ですが、摂りすぎは健康を害します。
セレンという毒物に指定されている猛毒がありますが、微量のセレンは体になくてはならないものです。
その被害が出る量がどのくらいかという違いがあるだけです。
どのくらいなら健康に影響がないと言えるのか
ここまで少量なら身体に必要なものでも多すぎると悪影響が出る例を挙げてきました。
身体に必要ないものはどうでしょう?
多すぎると全てのものが健康に悪いのなら、身体に必要のないものも量で考えないといけません。
世の中のもの全てを心配して避けて生きていくわけにいかないからです。
でも、この話がセンシティブなのは「この量なら大丈夫」と言い切れないところがあるからです。
できるのは、色んなデータから統計的に「この量なら問題ないと言える」という結果が導くところまでです。
他のことならそれで問題ないでしょうが、健康、命に係わるものは、そう簡単に割り切れるものではありません。
実際に、それで健康を害したと言っている人もいます。
それを「他の影響だ」とか「ノシーボ効果(身体に悪いと思い込むと本当に体調を崩す現象)」だと、一言で切り捨てる訳にもいきません。
ですから、問題がセンシティブでブログで取り上げたくなかったのです。
身体によいものを摂り過ぎない
ここまで話ましたので、ひとつだけ私の意見をいわせてください。
何度も行ってきましたが「摂りすぎると何でも身体に悪い」ということをもっと主張したいのです。
中にはいくら摂っても身体に悪くないものもあるかもしれないので、少し言い過ぎかもしれません。
でも、事実です。
天然由来だろうが、植物由来だろうが、それで安心してはいけないのです。
天然にも植物の中にも摂りすぎると身体によくない成分はいくらでもあります。
普通に食品として摂るくらいなら、あまり気にしなくてもいいでしょう。
でも「健康食品」と称しているものの中には、健康によいと言われている成分を何百倍、何千倍と濃縮しているものがあります。
私は、そんな不自然な量を毎日摂取し続ける方が怖いです。
身体によいとされているものでも摂りすぎるとどこかで悪影響がでますし、濃縮の過程で他の物質まで濃縮されています。
宣伝で、量の多さをアピールしていますが、量が多ければ多いほど怖くて買う気にはなれません。
電磁波も強烈なら悪影響が出て当たり前
身体に悪い電磁波の代表格は、ガンマ線でしょう。
放射線の一種で浴びすぎると被ばくして、がんなどを引き起こします。
でもガンマ線は自然界にも存在していて、私たちは常にガンマ線に晒されています。
量が少なければ、問題にならないのです。
X線も浴びすぎると被ばくしますが、レントゲンやCTなどに役立っています。
身体に影響がない量を見極めながら治療しているのです。
赤外線は(なぜか)身体にいいと思われていますが、強い赤外線を浴びれば温度が上がってやけどしますし、もっと強くすれば命にかかわります。
量が多いと体に悪いのは同じです。
Wi-Fiに使われているマイクロ波(電波の一種)も、強烈なマイクロ波を浴びると体に悪いのは同じことです。
Wi-Fiの電波は身体に悪いのか?
本題に戻ります。
「Wi-Fiの電波は身体に悪いのか?」
正直いうとわかりません。
まだ知られていないメカニズムで体調を崩す可能性は否定できません。
しかし、「電子レンジの仕組みである水分子を発熱させる効果によって健康を害するのか?」これなら答えられます。
Wi-Fiの電波は電子レンジと同じ周波数なので危険という理屈
電子レンジでは、電磁波が水分子を振動させて、それによって食品を温めます。
もし、大きな電子レンジで人間を温めたら大変なことになります。
どんどん体温が上がり、死に至ります。
Wi-Fiの電波も周波数が同じなので、同じ効果があるから危険と考える人がいるみたいです。
でもそれを根拠にWi-Fiの電波が身体に悪いと言ってもいいでしょうか?
Wi-Fiの電波で熱くなりますか?
Wi-Fiの電波で熱くなりますか?
熱くなる人は危険なのでWi-Fiの電波を避けましょう。
低温やけどの可能性があります。
私は熱さを感じないので大丈夫です。
Wi-Fiの電波は、水を温める効果を持っていますが、無視できるほどの影響しかありません。
発熱効果は織り込み済
Wi-Fiで使われているマイクロ波領域の電磁波が、水分子を振動させて発熱させることはよく知られています。
よく知られているというものは、前もって対策を講じることができます。
スマホなど顔(身体)に近づけて使用するものでは、局所的に電磁波を浴びてしまいます。
電磁波が強いと発熱します。
現状の規格では、実際に身体につけた状態で温度上昇がみられない強度の50分の1未満までしか許されていません。
発熱効果だけなら、気にすることはないのです。
もちろん、まだ知られていない効果によって健康を害することまでは否定できませんが。
もっと発熱する波長
『電子レンジの仕組みを簡単に説明! 電波を使って加熱する不思議』の中でも説明しましたが、電子レンジに使われている電波の波長(2450メガヘルツ)は、一番水を加熱しやすい波長ではありません。
一番水を激しく動かす周波数は、数千ギガヘルツで、電子レンジに使われている電波の1000倍も波長が短いものです。
もし電子レンジの電波が危険なら、数千ギガヘルツの電磁波はもっと危険なはずです。
数千ギガヘルツというのは、電波の範囲を超えています。
分類すると「遠赤外線」の領域です。
遠赤外線というと、逆に身体にいいイメージがあるのではないでしょうか?
遠赤外線も身体に悪い
遠赤外線も電子レンジと同じように理屈を展開できます。
「遠赤外線オーブンで食品が加熱されるのだから遠赤外線は身体に悪い」
電子レンジを遠赤外線オーブンに変えただけです。
でも、暖房のため遠赤外線ヒーターは気にせず使っています。
それもWi-Fiの電波とは違い、身体が温かくなるほどのレベルなのに……。