「学問分野で一番簡単なのは物理だ」という説があります。
物理嫌いの人だけでなく、物理を専門にしている人からも反論が来そうな気がしますが、ちゃんと説得力のある説です。
なぜ物理が一番簡単な学問だと言われることがあるのか、簡単に説明してみましょう。
なぜ物理は難しいのか?
物理は、数学で表されます。
ニュートンは、自分の理論を展開するために、微分、積分という新しい数学を作る必要がありました。
アインシュタインは一般相対性理論を作るときに非ユークリッド幾何学という数学を使いました。
このように物理は最先端の数学を利用するだけでなく、物理理論から新しい数学が現れることもよくある、数学とは切っては切れない分野です。
ですから、物理を理解するためには数学が必須なのです。
高校で物理の授業がありますが、実は物理の初歩の部分だけしか習いません。
高校で習う範囲の数学で扱える部分しか教えることができないからです。
実際には、ちょっとした物理の計算にさえ、高校レベル以上の数学が必要なってきます。
これが「物理は難しい」と感じる理由だと思います。
物理が簡単だという理由
「難しい数学が必要だから物理は難しい」
一理あるような気もしますが、そんな単純なものではありません。
難しいかどうかは、他の学問と比較して比べないとわからないからです。
理系分野でも、生物学、医学、薬学などは数式で表すことができません。
社会学、経済学、経営学、政治学なども、数学は使いますが、数式で計算すると答えが出るような学問ではありません。
物理以外の学問は、数学を使って表すことさえできないのです。
もちろん、どの分野の学問も論理的です。
きちんと理論を作ろうとしています。
でも、数学で表されるくらい単純な理論に還元することができないのです。
物理以外の分野は、
「どんなに難しい数学を使っても表すことができないほど難しい」
のです。
難しい問題に囲まれている
私たちは「どんなに難しい数学を使っても表すことができないほど難しい」問題に囲まれて生きていると言ってもいいくらいです。
でも数学は無力ではありません。
普通の言葉(自然言語)では捉えることが難しい問題が、数学という言葉を使うことで単純化できて論理的に扱うことができるようになることは物理が実証してくれています。
ですから、数学で答えは出なくても、部分的に数学的な思考を使うことで、物事を単純化することは充分可能です。
答えまでは出なくても、明らかにあり得ないことや絶対に無理なことを判別する、そのために数学を利用することはできるのです。
もしかしたら、物理以外の分野は、物理以上に上手く数学的を使わないとわからないほど難しいものなのかもしれません。
物理に対する見方
数学で記述できるから物理は簡単だというのは、偏った視点からみた一側面に過ぎません。
物理自体、そんな単純なものではありませんし、本当に難しい学問です。
ただ、数学を使うから物理は難しいという偏見のようなものを払拭したいと思い、この説を記事にしました。
物理は難しい。
他の学問も難しい。
難しさの質は学問によって違う。
当たり前のことですが、なぜか物理が特別視されているような気がしている気がするのです。