活性炭は、その吸着能力を活かして、脱臭や水質浄化など身近なところで広く使われています。
そこで、活性炭が匂いや異物を吸着する原理や仕組み、活性炭の作り方、普通の炭との違いについて簡単に説明してみたいと思います。
活性炭とは?
活性炭とは、名前の通り「炭」、バーベキューなどに使う木炭の一種です。
木炭自体、匂いなどを吸着する効果があるので、備長炭や竹炭などを水に入れて飲料用にしたり、ご飯を炊くときに使ったりされています。
この炭の吸着する性質を特に強めたものを活性炭と呼んでいるのです。
「活性炭とは吸着する特性が強い炭である」と言っていいでしょう。
炭ですから、ほぼ炭素でできています。
炭素で構成されている物質には、大きくわけて「ダイヤモンド」と「グラファイト」があります。
このふたつは炭素原子同士の結合の仕方が違うもので、活性炭はもちろん「ダイヤモンド」ではなく「グラファイト」の仲間です。
炭素は英語で「カーボン」といいますが、通常「カーボン」と呼ぶときは「グラファイト」を指すことが多いようです。
炭素でできた物質には、ダイヤモンドとカーボン以外にも「フラーレン」「カーボンナノチューブ」などがありますが、これらはダイヤモンドよりもカーボンに近いものです。
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活性炭の特徴
活性炭には、目に見えない小さな穴が沢山空いています。
活性炭は、ほぼ炭素でできていますので、炭素を骨格とした有機分子と相性がよく、その表面に有機物質を吸着しやすい性質があります(匂いのもとの多くは有機物です)。
多くの穴で表面積を大きくして、有機物質を吸着する用途に使用されているのが活性炭です。
珪藻土との違い
以前の記事『珪藻土の構造と吸水する原理や仕組みを簡単に説明してみる』で、珪藻土が吸水する仕組みを説明しました。
そこで、小さな穴が沢山空いていて表面積が大きくなっていることが、吸水する理由のひとつだと書きました。
どちらも穴によって表面積を大きくしているのですが、
- 珪藻土の表面は水と相性がいいので水を吸着する
- 活性炭の表面は有機物と相性がいいので有機物を吸着する
という違いがあるのです。
活性炭の作り方
活性炭の多くは、木や竹、ヤシ殻、くるみ殻などを、水蒸気や二酸化炭素の中で800 – 950℃という高温にして作られています。
他にも化学的に表面積を増やす方法も使われていますが、かなり特殊用途のようです。
普通の木炭は、木を400℃くらいで蒸し焼きにして作るので、作るときの温度が大きな違いになっています。
炭の表面積はどのくらい
以前の記事で、珪藻土は1グラムでボクシングリングより広い面積を持っていることを説明しました。
活性炭の表面積は、その珪藻土と比べても格段に広いのが特徴です。
普通は「活性炭」と呼ばないごく普通の木炭でさえ、珪藻土より表面積が大きいのです。
珪藻土と同じように、ボクシングリングで表せば、活性炭は1グラムでボクシングリング10~100個分の面積があります。
活性炭と木炭の違い
活性炭は、その原料や作り方で、表面積が大きく違ってきます。
最初に、高温(800 – 950℃)で焼いて作ると説明しましたが、それは「活性炭」と呼ばれるものが、そうやって作られていることが多いというだけです。
炭は、それだけで吸着性能を持っています。
普通の木炭でも表面積は大きく、吸着効果もあるのですから、どこからを活性炭と呼ぶのかは明確な基準はありません。
通常は燃料として使うものを木炭、吸着の用途で使うものを活性炭と呼ぶという用途によって使い分けているようです。
そう考えると「活性炭とは吸着するために使う炭である」と言っても間違いではなさそうです。
吸着効果を製品では、「炭」とか「木炭」と呼ぶより、「活性炭」と呼んだ方が効果があるようにアピールできますので。