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インジウムの用途~テクノロジーを支える透明電極原料ITOとは?

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インジウムは、原子番号49の金属で、レアメタルの一種です。

インジウムの枯渇問題などがニュースでも取り上げられることがあるので、名前は知っている人が多いでしょう。

実は、インジウムがなければ現代社会が成り立たないと言っていいほど、今のテクノロジーには欠かせないものです。

この記事を読んでいるあなた、今この瞬間もインジウムの恩恵にあずかっていますよ。

今回は、このインジウムについてわかりやすく解説していきます。

目次

透明電極ITO(酸化インジウムスズ)

インジウムは、主にITO(酸化インジウムスズ:Indium Tin Oxide)という形で利用されてます。

これは、酸化インジウム(III) (In2O3) と酸化スズ(IV) (SnO2) の混合物で、酸化インジウムに酸化スズが少し混ざったものです。

ITOにはどんな特徴があって、何に使われているのでしょうか。

透明電極の材料

ITOの最大の特徴は、薄膜にすると透明で電気を通すということです。

酸化スズを少し加えるのも、それによって電気の伝導度が上がるためです。

その性質を利用して「透明電極」として広く使われています。

透明電極は、通常はガラスの表面にITOの薄膜が形成された構造をしたもので、光と電気を通すという特性を持ったものです。

実は透明で電気を通す物質というのは珍しく、透明電極は現状ではITOの独壇場です。

透明電極の用途

透明電極といっても、ピンとこないかもしれません。

でも、電気信号を送ることと、光を通すことを両立させないといけないところで活躍しています。

例えば、ディスプレイ。

液晶でもプラズマでも有機ELでも、表層に電気信号を送る必要がありますが、透明でなければ画面が見えません。

今あなたが見ている画面、そこに透明電極が使われています。

他にも、太陽電池、タッチパネル……身の回りのいろいろな場所で透明電極が使われています。

インジウムの生産国

インジウムの生産量が一番多いのは、どこの国だと思いますか?

おそらく多くの人の予想が当たると思います。

そう、中国です。

レアメタルと言えば中国というイメージ通りです。

では、2位、3位はどこだと思いますか?

クエスチョン

答えです。

2位は韓国、3位は日本とカナダが争っている状況です。

資源が乏しいと思われる韓国、日本が上位に入っているのは意外に思えたのではないでしょうか。

それだけではありません。

かつては日本が世界一のインジウム産出量を誇っていたのです。

世界一のインジウム産出量だった豊羽鉱山

北海道にあった金属鉱山 ”豊羽鉱山” は、1999年にはインジウム産出量89トンで世界の30%を占めていました。

もちろん世界一です。

しかし、採算が取れる浅い部分の鉱脈を掘りつくしたため、2006年に閉山することになりました。

地下深くまで掘ったため、地熱で高温になりすぎてそれ以上採掘ができない状態だそうです。

これからの日本の鉱山は都市鉱山

ITOは、透明電極としてガラスの表面に薄膜化して使われています。

そのため、リサイクルしやすいという特徴があります。

半導体の内部にちょこちょこ存在している物質を回収するのは大変ですが、液晶ディスプレイや太陽電池のような大面積のガラスから回収できるので採算が合いやすいのです。

『レアメタルとは何? 今さら聞けない種類、用途、問題点をまとめてみた』でも述べましたが、今後はレアメタルのリサイクルが必要で、リサイクル可能な使用済み製品が「都市鉱山」とよばれています。

日本は世界有数の都市鉱山保有国です。

もう一度、日本がインジウムの世界一の産出国になる可能性もないとは言えません。

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