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確率は難しくて当たり前? 数学者も悩んだ確率論の話

さいころ

数学で「確率」を習ったとき、難しいと感じた人は多いのではないでしょうか?

「順列・組み合わせ」とか「場合の数」とか、頭がこんがらがってしまいます。

それもそのはず、確率はかつて天才と呼ばれた数学者でも悩んだ問題だったのです。その確率の歴史をのぞいてみましょう。

目次

確率論の始まり

確率論が作られたのは、17世紀と以外と最近です。

「人間は考える葦である」で有名な”ブレーズ・パスカル”が、友人から、

「さいころを2つ投げたとき、5と6がでるか、6と6がでるか賭けたとき、6と6に賭けると負けるような気がする」

と相談されたことがきっかけだったようです。

5と6がでる確率と6と6がでる確率

「さいころを2つ投げたとき、5と6がでる確率と、6と6がでる確率はどちが大きいでしょうか?」

この問題は、現在の確率論では初歩の初歩です。

2つのさいころに、A、Bと名前をつけてたとき、5と6が出るのは「Aが5でBが6」「Aが6でBが5」の2通り、6と6が出るのは「Aが6でBが6」の1通りです。

ですから、5と6がでる確率は6と6がでる確率の2倍になります。

ライプニッツの誤り

同じ17世紀、パスカルより20歳以上年下の”ゴットフリート・ライプニッツ”という大数学者がいました。

微分、積分を見出した人です。

そのライプニッツは、

「さいころを2つ投げたとき、合計が11(5と6)になる確率と合計が12(6と6)になる確率は等しい」

とノートに書き残していたそうです。

これほどの大数学者でも間違うような問題だったのです。

微積分の発明

微積分は、ライプニッツと同時期にニュートンも発明しています。どちらが先駆者なのかという争いがあったのですが、今ではどちらが先とは言えず2人が独立して発見したとされています。

パスカルとフェルマー

パスカルは確率について考えていましたが、その答えに自信が持てず、当時の大数学者”ピエール・ド・フェルマー”に手紙を送ったそうです。

パスカルといえば、数学での「パスカルの定理」や、圧力に関する「パスカルの原理」などで知られ、気圧の単位パスカル(ヘクトパスカル)にも名を残している人です。

そのパスカルも確率については迷ったのです。

相談相手のフェルマーは「数論の父」と呼ばれるほどの数学者で「フェルマーの最終定理」という解決に300年もかかった問題を提起したことでも有名です。

≫フェルマーの最終定理とは?証明される前から定理と呼ばれた大予想

ふたりとも、数学史に名を残す天才です。

確率論は、そんな天才2人が手紙でやりとりしながら、少しずつ作り上げられたものなのです。

確率とは何か?

天気予報

さいころを2つ投げたときに6と6が出る確率は、36分の1です。

この意味を少し深く考えてみましょう。

今からさいころを2つ投げるとします。そのとき何の目がでるのかはわかりません。

36分の1というのは、何回もさいころを投げていくと、36分の1の割合で6と6がでるということを表しているに過ぎません。

少し正確にいうと「無限回繰り返したときに6と6が出る頻度」のことを意味しているのです。

他の意味での確率

普段、よく使う確率を採りあげてみます。

「明日の降水確率は30%です」

確率という言葉で一番よく聞くのが「降水確率」かもしれません。

この確率は何を表していると考えればいいのでしょう。

上で説明した確率の定義でいえば、

「明日が無限回繰り返されたとき、30%が雨になる」

ということになってしまいます。

なんか変ですよね。

さいころの場合は、何度も投げてみて、計算した確率が正しいかどうか確かめることができます。

でも雨になる確率は確かめることができません。

「確かめることができなくても、理論的に計算できればいい」

そういう立場に立つしかありません。

確率とは何かわからない

降水確率の例からもわかるように、確率を「無限回繰り返したときの頻度」と考えると、確率の持つ意味合いが狭くなってしまいます。

そのため、ある規則に則って論理的に求めた値を確率と呼ぶとか、起きやすさを表す傾向と確率と呼ぶとか、色々な立場で確率が議論されています。

実は「確率とは何か?」という単純な問いにも、一致した答えがないのです。

量子統計

量子力学

少し数学から離れて物理の話をします。

物理学には、主にミクロな現象を扱う「量子力学」という分野があります。

この量子力学では、一般的な確率が通用しません。

簡単に言えば、5と6がでる確率と6と6がでる確率が同じとなるような統計になっているのです。

これも実験して確かめることができます。

実際に確かめることができるものでも、状況によって確率の計算方法が違うのです。

確かめることができなかったら、誰も気が付かなかったかもしれません。

そう考えると「実際に確認できないものの確率をどう扱うべきか」という問題の難しさが、わかってもらえるのではないでしょうか?

それでも確率・統計の知識は必要

確率は難しいということを書いてきましたが、だから確率はわからなくていいということではありません。

確率・統計分野は、他の数学分野より生活に密着しています。

そして確率や統計を利用した詐欺まがいの行為も横行しています(もちろん完全な詐欺も沢山あります)。

生活に密着しているのに難しい、それを悪用する者たちから身を守るためにも最低限の知識は持っていた方がよいでしょう。

≫数学者も悩んだ確率の話 モンティー・ホール問題を解説してみた
≫フェルマー最終定理とは? 証明される前から定理と呼ばれた大予想

さいころ

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