ダイナマイトは、ノーベル賞で有名な ”アルフレッド・ノーベル” が発明しました。
ノーベルはそれによって大きな財産を手にしました。
このダイナマイトというのはどんなもので、どんな特徴が有用だったのでしょうか?
そこでダイナマイトについて、簡単に説明してみたいと思います。
ニトログリセリンとは
ダイナマイトを説明するには、まず「ニトログリセリン」について知る必要があります。
まずは、その「ニトログリセリン」から説明してみます。
ニトログリセリンの構造
ニトログリセリンは、下のような構造をした化合物です。
Oが沢山あって目立ちます。
分子式でいうと「C3H5N3O9」炭素や窒素の3倍も酸素がある化合物です。
物質が燃えたり爆発したりするときには酸素が必要ですが、ニトログリセリンは分子内に酸素を沢山持っているので、空気中の酸素に頼ることなく爆発できるのです。
ニトログリセリンの構造は「硝酸エステル」です。
ニトロ化して合成しますが、いわゆる「ニトロ化合物」とは違うものになります。
ニトログリセリンの特徴
ニトログリセリンは、常温では液体、8℃以下で固体になります。
わずかな衝撃でも爆発するという特徴があり、取り扱いには注意が必要です。
ニトログリセリンのその他の用途
ニトログリセリンは、血管拡張作用があるため狭心症の薬としても使われています。
ニトログリセリン工場で働いていた狭心症患者が、工場では発作が起きなかったことから見つかったものです。
ニトログリセリンの発明
ニトログリセリンを発明したのは、 ”アスカニオ・ソブレロ” というイタリアの化学者です。
ちょっとした衝撃で爆発する危険で取り扱いが難しい物質だったこともあり、ソブレロは発見してからも中々発表しませんでした。
発表した後も危険性をたびたび警告していました。
成果をアピールするのではなく、危険な物質を見つけてしまったことに負い目を感じていたのかもしれません。
ノーベルという人物
”アルフレッド・ベルンハルド・ノーベル” はスウェーデンの化学者、発明家実業家です。
ノーベルの父親も発明家兼事業家で、機械や爆発物の製造をしていました。
そんな父のもと、ノーベルは小さい頃から複数の家庭教師に化学を学び発明家となったのです。
そうして、ノーベルは爆発物の研究に打ち込むようになりました。
ちなみに、ニトログリセリンを発明したソブレロとは、トリノ大学で一緒に化学を学んだ仲でした。
ダイナマイトはニトログリセリンから作られた
ダイナマイトは、ニトログリセリンを使ったものです。
ノーベルは、ニトログリセリンの爆発力を利用して新しい爆薬を作ろうとしたのですが、それには大きくふたつの課題を解決する必要がありました。
安全性の確保
ニトログリセリンは、わずかな衝撃で爆発します。
危険すぎて運搬すらできません。
そこで、ノーベルはニトログリセリンを珪藻土に浸み込ませる方法を見つけます。
珪藻土にはごく小さな穴が沢山空いているので、そこにニトログリセリンを浸みこませることで衝撃による爆発を防いだのです。
起爆装置
爆薬は、意図したタイミングで爆破しなければ意味がありません。
ノーベルは、ダイナマイトを意図したタイミングで爆破させるために、雷管を発明します。
導火線の火によって、起爆薬に火をつけて、それによって爆発を誘発させるための導爆薬に点火するというものです。
ダイナマイト以降は、雷管または、それを改良した信管が一般的に使われるようになります。
ダイナマイトの改良
ダイナマイトは、当初はニトログリセリンを珪藻土に浸み込ませていました。
しかし、より爆発力を上げるために珪藻土を使わずに、ニトログリセリンを「ニトロセルロース」と混合して安全性を高めるという改良がノーベル自身の手で行われました。
ニトロセルロースは、植物繊維であるセルロースを原料にしたもので、セルロイドの原料としても知られる物質です。
このニトロセルロース自身も火薬なので、珪藻土を使うより爆発の威力が大きくなりました。
ダイナマイトの語源
ダイナマイト(dynamite)は、ノーベル自身がつけた名前で、「力」を意味するdunamisに由来すると言われています。
最初にダイナマイトに使われた珪藻土は英語で、ダイアトマイト(diatomite)で、ダイナマイト(dynamite)とよく似ています。
これはただの偶然でしょうか?
珪藻土が語源ではありませんが、ノーベルが少し洒落っ気を出してダイナマイトと名付けたのかも、と想像したくなります。