台風の中心にある雲も少なく雨も降らない場所、台風の目。
台風によって、目がはっきりしている場合とそうでない場合はありますが、中心に目があるのは台風の特徴でもあります。
中心に近づくほど風雨が強くなる台風、その一番中心が晴れているという不思議な現象はなぜ起きるのでしょうか?
台風になぜ目ができるのか、目の部分だけなぜ晴れているのか、その仕組みを簡単に説明してみます。
台風で雨が降る仕組み
まず、なぜ台風の時に雨が降るのか、その仕組みを簡単に解説してみましょう。
台風とは?
台風は、熱帯低気圧の中で最大風速が約17.2m/s以上にまで発達したものを差す言葉です。
基本は、周囲より気圧が低い「低気圧」です。
低気圧で雨になる理由
台風の中心は周囲より気圧が低くなっています。
空気は気圧の高いところから低いところに向かって進むので、中心に向かって風が吹くことになります。
中心に近づくにつれて周囲から集まってきた風は行き場を失って、上に向かいます。
低気圧があると、このように上空に向かう上昇気流が発生するのです。
この上昇気流が雲を作り、雨を降らせる原因になります。
上昇気流によって雨が降る仕組み
低気圧に向かって海上を進んできた風は、海の水によって湿った空気になっています。
湿った空気が上昇気流で上空に向かうのですが、上空にいくほど気温が低くなります。
気温が下がると空気中の湿気は、結露して水滴になってしまいます。
これが雲です。
そして、雲が発達して、雨になるのです。
台風の回転
別記事で詳しく説明していますが、地球が自転していることで北半球では移動しているものには、右に逸れるような力が働きます。
これをコリオリの力と呼びます。
≫≫コリオリの力とは何か? 北半球で台風が反時計回りになる訳
風もコリオリの力を受けて右に曲がります。
ですから、風は台風の中心に向かうのではなく、反時計回りに回転するように進みます。
台風が全て反時計回りに回っているのは、これが原因です。
ですから、上昇気流も単に真上に向かうのではなく、竜巻のようにスパイラル状に上昇していきます。
この時の竜巻の中が台風の目で、目の周りをスパイラム状に上昇気流が登っていくのです。
遠心力と気圧差
回転しているものには「遠心力」が働きます。
台風の中心は気圧が低いので、風には中心に向かう力が働いているのですが、それより遠心力が強くなると中心へ向かうことができなくなります。
台風は、最大風速が約17.2m/s以上の熱帯低気圧でした。
風速が速いということは、遠心力も強いということです。
気圧の低い中心に向かう力と遠心力と釣り合えば、それ以上風は中心に近づくことができません。
これが台風の目です。
台風の目が晴れている理由
台風の目は気圧は低いのですが、しかし遠心力のせいで風が入ってきません。
ですから、上昇気流も起きず、雲も発生せず、雨も降りません。
台風は,中心に近づくほど、風雨が激しくなりますが、その一番中心はカラッと晴れている、そんな不思議な現象が起きるのは、遠心力のせいなのです。
最後になりましたが、台風の目で晴れるのは一時的なものに過ぎません。
台風が去ったと油断しないよう、くれぐれも注意してください。